お菓子が目に浮かんでくる!?そんな小説知ってますか?

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まるまるの毬(いが):西條奈加〔講談社〕

甘いものが大好きな私は、通勤時間も甘いものを楽しみたいので
スイーツが登場する小説をむさぼり(?!)読んでいる。

いくつのも和菓子が登場するたび、思わずどんなお菓子かと
想像したり、思わず調べてしまうほどの一冊が
西條奈加さん著書【まるまるの毬(いが)】です。

西條奈加さん著書【まるまるの毬(いが)】

親子三代で菓子を商う「南星屋」は、 武士から転身し旅をしながら
諸国のお菓子を学んだ店主の菓子職人治兵衛さん。出戻り娘のお永さん。
その娘16歳で看板娘のお君ちゃんの3人で切り盛りしている和菓子店。

商売の仕方も独特てお昼まえはぴたりと店の板戸が閉められており
その店先には人が並び始め、お昼の鐘が鳴ると開店。
本日のお菓子といって毎日違ったお菓子が2・3種類販売されます。


そのお菓子を町の人々が行列をなして買い求めるので八の鐘が鳴る(現代では3時頃)前には品切れとともに閉店してしまうという売り切れご免の繁盛店!

この店主の治兵衛さんは、武家の身分を捨て職人となった。
家族にも言えない秘密をもっている。そして、度々登場する治兵衛さんの弟で、僧侶である 五郎(石海)が和菓子をうまそうに食べるので、こちらも本を読みながら思わず「ゴクリ」っと唾を飲み込んでしまいます!

南星屋にかかわる人々の暖かさと優しさと、そして
ちょっと切ない人情あふれる人の心の温かさを描いた作品です。

江戸の時間の流れ

文中には江戸の時刻が登場するするので、何時を差しているのか
時折わからなくなってしまうけれど、そんな時は下記URLをご参考にして下さい。

参考;【ビバ!江戸】http://www.viva-edo.com/toki.html

昔は太陽の日の出と共に一日がスタートし、日の入りまでを「昼」、
日の入りから日の出までを「夜」として1日を「昼」「夜」に分けていた。
更に「昼」「夜」をそれぞれ6つに分けていたので、
1日を12刻とし、終日のことを「二十六時中」(2×6=12)と言っていたそうです。

現在は1日24時間ですから「四六時中」(4×6=24)なんて言いますよね。
以下ご参考まで時間の表現も時代と共に変わってきたのですね。

一刻≒2時間
半刻(はんとき) ≒1時間
四半刻(小半刻)≒30分

まるまるの毬:目次


「まるまるの毬」の目次はすべてお菓子の名前です。
どれも一体どんなお菓子なのか気になりますね。
文中の一部から美味しいとこ取りで、それぞれご紹介したいと思います。

カスドース

「カスドース」とあったので、てっきり「カステラ」のことと思いながら
読み進めるとどうやらカステラとは違うようです。
1543年にポルトガルとの南蛮貿易がスタートして長崎県平戸市に渡来した
カトリックの宣教師たちによって伝えられたお菓子のこと。

当時日本では高価な鶏卵・砂糖をふんだんに使った黄金色のお菓子で
平戸藩門外不出の、庶民は食べられない幻のお菓子でした。
平戸藩の松浦家に代々伝わる「百菓乃図」(1845年成立)にも記録が残っています。
現在なんと長崎県平戸市で湖月堂老舗や平戸蔦屋などが製造販売を行っているそうです。
私も食べてみたい!!

なんと、まるまるの毬の文中では・・・

石海:「この羊羹もいけるが、やはりこの前のカステラがひときわ旨かった」
治兵衛:「印籠カステラか。あれはもう作らねえよ」
石海:「なんだ、もうお蔵入りか。今日もあるかと楽しみにしていたが」
治兵衛:「カステラは卵なんぞが高くてな。やはりうちみたいな小店が商うには分不相応だ。
カステラを置く店なら、江戸にもいくつもあるしな」
石海:「あれはただのカステラじゃなく、もっとしとりして甘みも濃かった。おそらく糖蜜をからめて、
砂糖もまぶしてあったろう?カステラは他所でいくつも食べたが、あんな変わり種は初めてだ」

その門外不出のはずのカスドースに似たお菓子を治兵衛さんがが印籠カステラとして南星屋で販売していたことが事件となって・・・・!!
治兵衛さん大ピンチ!!・・・・( ˘ω˘ ; )・・・

若みどり

武家の子息でありながら、南星屋の治兵衛に弟子にしてほしいと毎日朝早く通ってくる
可愛らしい翠之介(すいのすけ)に教えるお菓子のひとつ。

治兵衛:「お永が、面白い菓子を思い出してな、今日そいつを拵(こしらえ)えてみよう」
翠之介:「はい。何という菓子ですか?」
治兵衛:「翠坊と、同じ名だよ」
翠之介:「私と?」
きょとんとして、治兵衛を仰ぐ。お永が、ふふ、と笑って代わりにこたえた。
お永:「『みどり』という名の菓子なんですよ。色は白いのにみどりなんて、おかしいですけどね」
治兵衛:「細くて白い、かりん糖のようなものだ。かりん糖は知っているかい?」・・・・
粉と砂糖を水で固めにこねて、一寸ほどの長さに細く切り、鍋で炒る。これを銅の平鍋で弱火にかけて、
煮詰めた砂糖を幾度もかけまわしながら、砂糖衣をまとわせた。
翠之介が菓子を口にいれ、ぽりぽりと音を立てて噛み締めた。

・・・・・・(灬˘╰╯˘灬)♥。
この翠坊のお父様に朝稽古をさぼって南星屋に通っていたことが見つかって大騒ぎ!!
翠坊の将来は一体どうなるの!!

まるまるの毬(いが)

お君:「お団子を『まるまる』とも言うって、おかっさんからきいたけど、おじいちゃん、本当?」
治兵衛:「ああ、本当だよ。西国の菓子屋じゃ、ことによくきくな。まるまるというのは、京の女房詞(にょうぼうことば)でな」
女房詞とは、宮中に仕える女官が使っていた独特のもので、牡丹餅(ぼたもち)を「やわやわ」、素麺(そうめん)は「ぞろぞろ」など、重ねことばが多いことでも知られている。
甘ったるく丸みのある言いまわしが、おそらく菓子に似合いだったのだろう。
団子を「まるまる」、草餅を「草のみつみつ」と書かれたものは、菓子の指南書などにもよく見受けられる。

・・・・・・

お永:「ふた品とも、お団子でいいんですか、お父さん」
治兵衛:「ああ、今日は団子尽くし、栗づくしだ。ともかく団子となると数をかせがなけりゃならないからな。ふたりとも、きっばって丸めてくれよ」
こちらは四つずつ串にさし、上に栗餡を載せる。

もう一度、同じ生地を練り上げて、それには中に小豆のこし餡を入れる。
お永:「栗は、中に入れるわけじゃないんですね。どこにつかうんですか」とお永が聞いてきた。
治兵衛:「ああ、いが餅にしよう思ってな」
「米粒の代わりに栗を使うんだ。あまり芸があるとは言えねいが、栗の実を毬にみたてるのも、たまには悪かないだろう」

お永とお君の親子げんかをまるまるに収めようと考えた「まるまるの毬」
親として母として娘として兄弟として・・・
互いに思いやる気持ちから生まれたお菓子。味わってみたいな。

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大鶉(おおうづら)

子供の頃の治兵衛:「頼むよ、権助。五郎をあのままにしてはおけない。木から下りる気になるような、とびきりの大鶉(おおうずら)を作りたいんだ」
権助:「ならば、五郎坊ちゃんの大っきな目ん玉がとび出るほどの、うんとでっかい鶉にせねばな」
権助が楽しそうに、黄ばんだ歯を見せた。
五郎の大好物は、大鶉(おおうずら)と呼ばれる菓子だった。
餡の入った餅菓子を、古くは鶉餅(うずらもち)と呼んだ。いわば大福餅の前身だが、
大福よりもずっと大ぶりで、鶉に似たふっくらとした形をしている。故に大鶉呼ばれ、ひとつ食べれば腹一杯になることから、腹太餅(はらぶともち)とも称された。

・・・・・(*´﹃`*)

この弟五郎にと作った大鶉を兄弟そろって食べるのだが・・・その場所は・・・・。
こんなにも仲の良い兄弟があるなんて♡

梅枝(うめがえ)〔有平糖〕

粉砂糖一升に水ニ升、火にかけて煮溶かし、絹でこしてふたたび煮詰める。頃合いを見て鍋の平鍋にうつし、水で冷やす。
治兵衛の言った飴の機嫌とは、この鍋の平鍋に移す頃合いのことだ。
匙ですくって水で冷やし薄くのばしてはりはりと折れるくらいが良いとされるが、
天気や時節によって温度が変わるから、この見極めが肝心となる。

白を引くのはこの後だ。平鍋の内側には、鍋肌や手につかぬようくるみ油を塗ってあり、
程よく冷ましたところを繰り返し引きのばす。空気を含むたびに、
透明な飴は新雪のごとく白さを増していき、だから白を引くという。

河路:「なんと、こちらは赤くなった。もとは同じ飴色であったはずだが」
治兵衛:「のばす前に、紅粉を入れたんでさ」
河路:「たったそれだけで、紅白に分かれるのか・・・何とも不思議なものだな」

白い棒状にした白い生地を芯にして、周りに赤い生地で拵えた細い棒を三本配する。
これを何倍もの長さになるまで伸ばしてから、一口大の大きさの飴に切る。
中心をひと押ししてやると、周囲がふっくら盛り上がり、白い花弁に、赤を三筋差したような飴菓子となった。

松浦家賄い方を務める河路が、治兵衛の孫お君にプロポーズをします♡
お国許の平戸に帰ることが決まっている河路さん嫁げば、もう二度と戻っては来られない程遠い所。
大切な孫娘の幸せを想い治兵衛さんは・・・・。

松の風

お君ちゃんをお嫁に欲しいと武家の河路さんから話があり、ついにそれを許す治兵衛とお永。
武家の家に嫁ぐ前に、行儀見習いとして治兵衛と五郎が生まれ育った家でもある、
本郷の岡本家で行儀見習いをとして上がることとなる。
その様子伺いを兼ねて岡本家へ手土産を持参すると・・・

慶栄:「今日は餅菓子と、煎餅ですかな?」
話しかけられて、我に返った。機嫌のよい慶栄の顔が、こちらに向けられている。
治兵衛:「お口に合うかどうかわかりませんが、今日は山椒餅と、白砂松風をお持ちしました」
茶色い丸餅には、赤味噌と山椒を混ぜてある。噛むと山椒の香りが広がって、暑い時期には似合いの餅菓子だった。
頬張った甥が満足そうにうなずき、ついでもうひとつの菓子に手を伸ばした。
慶栄:「『白砂松風』と言いましたか、こちらは初めて見る菓子ですな」
小さめの歌留多(かるた)の札のような、四角い薄焼きを手にとって、しげしげとながめる。
慶栄が言ったとおり、見てくれは煎餅に近いが、干菓子の一つだった。

水に白砂糖を煮溶かし、麦粉を入れて、よく練って桶に寝かせておく。
冬なら七日、夏なら三日で、表面にぷつぷつ泡が出てくる。
そこへさらに白砂糖を加えて混ぜて、薄くのばして焼いたもので、表にはたっぷりと白胡麻をかけてある。
治兵衛:「美濃へ行った折に見覚えた、松風という菓子でして、そこでは芥子(けし)の実をふってありました。芥子の代わりに白胡麻をたっぷりまぶし、白砂に見立てたものです。
京にも松風という名の似た菓子があるが、こちらは白味噌を使い、煎餅というよりカステラに近くふっくらしている。どちらが古いのかはわからないと、治兵衛は述べた。

お永さんの元夫である修蔵(お君の父)もやっぱりお君ちゃんのことが気がかりで
様子を知りたくて治兵衛さんをお酒の席に誘ってくる。

治兵衛:「こいつは、松風というんだがね。表と裏で、色が違うだろう?」
菓子をしっくり返した修蔵は、たしかにとうなずいた。胡麻をまぶした表はこんがりと茶色に焼けて、いかにも香ばしそうなのに対し、裏は生焼けのようにほの白く、何とも寂しい。
治兵衛:「見てのとおり、裏が寂しい。うら寂しいといえば松を渡る風だ、それで松風とついたそうだ」
修蔵:「洒落ですかい」
修蔵は苦笑いしたが、菓子の名は案外、この手のたぐいが多いときく。
治兵衛:「松風を出していた店の主人が、こいつを手にしみじみと言っていた。まるで娘を嫁に出すときの、親心のようだとな」
・・・しばしのあいだ、じっと菓子をながめてから、修蔵はぱりりと噛んだ。

出戻りの娘のお永と、その元だんな修蔵と孫のお君への愛情あふれるやさしさ。
家族の幸せを願う治兵衛に何やら不吉な黒い影が近づいて・・・。
ううううん((( °ω° ;)))この先は一体どうなるの?!

南天月(なんてんづき)

客:「今年の正月菓子は、何かね」
治兵衛:「はい、こちらの『南天月』にございます。
客:「こいつはまた、可愛らしいな。名のとおり、お月さんみてえにまん丸だ」
治兵衛:「皮はカステラに似せた、饅頭でさ」と治兵衛は種を明かして。
カステラではどうにも値が押さえられない。クチナシで色をつけ、黄色い饅頭を月に見立てることにした。
治兵衛:「中にもうひとつ、月が入っておりましたね」
ひとつを半分に割って、中を見せる。客たちから、ふたたび声があがった。
客:「本当だ、中には半月がはいってら」
餡は二層にし、黒い小豆餡の上に白餡が載っている。椀の蓋を置いた形の白餡は、半月に似せた。南星屋の屋号にちなみ、星でははなく南天に上る月を意匠としたのである。


本の中の南星屋に行って私も買い求めたい!!なんて作品にのめり込んでしまうのです。

まとめ

和菓子が次々に登場し、思わず頬が緩みます。
日本各地の銘菓が食べられるお菓子屋さんがご近所にあったら素敵だな♡
作り手の愛がそのお菓子を通して伝わってくる。
その後の南星屋はどうなったか・・・って?。
私も知りたい一人です。
作者の西條奈加さん。その後はどうなったのでしょうか?

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